2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク産業におけるインフラ整備と市場構造の変遷に関する研究
Project/Area Number |
21530243
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水野 敬三 関西学院大学, 商学部, 教授 (40229703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 准教授 (80334879)
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Keywords | 戦略的インフラ投資 / 接続スピルオーバー / 施設ベース企業 / サービス・ベース企業 / ビジネス置き換え効果 / 接続による戦略効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,情報通信,都市ガス,電力等のネットワーク産業におけるインフラ整備を通じた市場構造の変遷に関する理論モデルを構築し,そのモデルを用いて均衡分析と経済厚生分析を行うことである.平成23年度は「戦略的インフラ投資誘因のもとで歪められる接続料金規制」と「2タイプの企業が存在するもとでの接続・投資レジームの比較研究」の2つの課題研究を進めた.「新インフラ建設のもとで歪められる接続料金規制」の課題研究では,静学理論モデル分析により次の結果を得た.新インフラ建設が消費者に対するサービス向上などの利点から需要拡大効果を持つとする.また,新規参入企業が新インフラ施設に接続することによって,その需要拡大効果のメリットを享受することができるとする(これを「接続スピルオーバー効果」と呼ぶ).そのとき,接続スピルオーバー効果が小さい場合,既存企業の新インフラ建設は規制当局が設定する接続料金の水準を高めに設定させる効果を持つ可能性があることを理論分析により示した.この主たる理由は,既存企業の(利潤最大化という)私的誘因により投資量が社会的な視点からみて過剰になり,それが規制当局の接続料金設定行動を歪めるためである. 「2タイプの企業が存在するもとでの接続・投資レジームの比較研究」の課題研究では,施設ベース企業(インフラ施設を所有する企業)とサービス・ベース企業(インフラ施設を所有しない企業)の2タイプの企業の存在を前提として,既存企業と施設ベース企業の投資誘因の違いや接続料金規制が引き起こす効果について比較分析した.分析より,ビジネス置き換え効果(business-replacement effect)と接続による戦略効果(strategic effect through spillover)によって,様々なレジームのもとでの投資誘因,参入企業の排除誘因,規制の効果を説明できることが判明した.
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