2011 Fiscal Year Annual Research Report
エジプトの相互扶助慣行に関する実証研究―地域社会における生活保障のメカニズム解明
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21530252
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
岩崎 えり奈 共立女子大学, 文芸学部, 准教授 (20436744)
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Keywords | エジプト / 地域 / 社会調査 / 統計 / 相互扶助 |
Research Abstract |
本研究は、エジプトの地域社会における相互扶助慣行をミクロレベルで実態的に解明することを目指している。具体的には、都市と農村において世帯・個人を対象に様々な相互扶助慣行に関する社会調査と実証分析を行い、エジプトの地域社会における生活保障のメカニズムを検証することを目的とする。 その具体的作業として、今年度は、昨年度に引き続き、エジプトの西部砂漠(リビア砂漠)における村落を対象に、農業労働・農業共同耕作慣行・水利慣行、ならびにモスク建設などの共同社会事業に関する調査を行った。その結果、灌漑システムの違いと相互扶助慣行とが密接に結びついていることが分かった。また、下エジプトの村落(メヌーフィーヤ県)においても農業共同耕作慣行に関する調査を実施した。現在、これらの調査から得られた情報・データをもとに分析を進めている。 また、カイロについては、繊維産業地区(ショブラヒーマ地区、カイロ中心部アズハル地区)において、零細企業経営者を対象にした聞き取り調査を実施した。それによって、紡績・アパレル零細企業経営者同士の協同に関する質的な情報を収集し、繊維産業における零細企業経営者が経営者同士の水平的な関係よりも商人との垂直的な関係において生産・流通が展開するシステムが確立していることが明らかになった。その成果の一端は、アジア政経学会2011年度全国大会(2011年11月16日)において「経済のグローバル化とエジプトの繊維産業」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
西部砂漠での調査を実施し、予定どおりに作業を進めることができた。一方、当初予定していた中エジプトでの調査については、アラブの春に付随した治安悪化のために行うことはならなかったが、かわりに、下エジプト農村やカイロで調査を行うことができ、予想以上の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の24年度は、成果をとりまとめるべく、西部砂漠、カイロ、ナイル流域農村との比較分析を行う予定である。また、現地の状況が許せば、23年度に行うことができなかった中エジプトの地方都市における調査を行いたい。
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Research Products
(7 results)