2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530260
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古松 紀子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (60293685)
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Keywords | 高等教育 / 範囲の経済性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,個人の教育選好が内生的に決定されるメカニズムを心理学分野の学問的成果を有機的に取り込むことにより構築し,教育政策の最適化問題を新たな側面から分析することにある.従来,教育を経済学的に分析する一つの中心は人的資本理論に基づいており,それを通じて経済成長や所得分配の理論に貢献してきた.しかしながら,近年の日本における大学教育需要の動向は,人的資本理論に基づく生涯所得最大化でも消費理論に基づく効用最大化でも説明しきれない.このことは,近年の大学教育が従来型の投資財,消費財としての選択だけではなく,それ以外の要因によって決定されている可能性を示している.本年度は,その要因を探るために,人的資本形成の場である大学教育機関を分析対象と捉え,範囲の経済性や規模の経済性に関して実証分析を行った.今年度に分析対象とした大学は私立大学であるが,日本の大学教育需要の多くは私立大学によって吸収されており,その点で,個人の教育選好の形成メカニズムを知るために私立大学の生産性を知ることは重要であると思われる.この実証分析の成果は査読付きジャーナルに掲載された.
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Research Products
(1 results)