2009 Fiscal Year Annual Research Report
高度経済成長の終焉と地域開発計画の変容-沖縄振興開発計画の事例研究-
Project/Area Number |
21530263
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大城 郁寛 University of the Ryukyus, 法文学部, 教授 (40194146)
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Keywords | 沖縄振興開発計画 / 長期経済開発計画 / 工業化 / 地域の自主性 |
Research Abstract |
琉球政府の「長期経済開発計画」は、日本復帰を目前に控えた1970年9月に策定された計画であるが、この計画の審議会の議事録によれば、取り纏めの最中にあった国の新全国総合開発計画において沖縄がどのように位置づけられるのかということが重要な論点の一つになっており、琉球政府の長期計画は新全総から大きな影響を受けている。まず1つは、公害の激化によって通産省の産業立地方針が1960年代後半になって変更されるが、沖縄側はそれを工業立地に関する適地不足と理解し工業基地を建設しようとしたこと、2つに、交通及び情報通信網の整備によって新ネットワークを形成するという新全総の方針を踏襲して、インフラ整備を推進しようとしたことである。インフラ整備については、社会資本整備が遅れていた当時の沖縄の状況からすれば当然の判断だと思われる。しかし、工業化に関しては公害を含め工業を取り巻く状況把握は十分とは言い難く、時代遅れの認識のもと沖縄の工業化を志向したことが伺える。
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