2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530265
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梅田 雅信 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 教授 (40438114)
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Keywords | 金融論 / 経済政策 |
Research Abstract |
研究初年度に当たる21年度は、研究計画書に沿い、『ゼロ金利政策導入の決定過程に関する研究-発足直後の日本銀行金融政策決定会合の機能と評価-』というテーマで成果をとりまとめた。本稿では、1998年4月の新日本銀行法施行後の約2年間を中心に、10年後公開ルールによって公表済みの日本銀行金融政策決定会合の議事録・執行部提出資料の詳細分析を柱に据えて、他の定量的分析も加味しつつ金融政策決定会合の運営状況について詳しい検討を行った。その分析結果からは、第1に、1999年2月のゼロ金利政策採用やその解除条件の導入に関しては、日銀執行部が主導的役割を果たし、一部の審議委員も議論の集約過程における論点整理や時間軸政策の着想の提案等で大きく貢献したことが明らかとなった。第2に、当時の政策変更時の理由としては、「デフレ」という実体経済にかかわる指標を中心に据えるというロジックが一貫して採用されたが、議事録等の詳細分析や、キーワード分析の結果等を踏まえると、そうしたロジック採用は、政策変更の真の動機とは別に、対外的説明の容易さや、政策の一貫性を保つ意味で採用された面が大きいことが判明した。第3に、上記第2でみたように、「デフレ」を中心とする政策変更のロジック採用にもかかわらず、そうした「デフレ」という言葉の定義自体があいまいであったことが、逆にその後の金融政策運営に一貫性・整合性を喪失させる、一つの要因となったことは否定できない。
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Research Products
(3 results)