2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530265
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梅田 雅信 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (40438114)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 金融論 / 経済政策 |
Research Abstract |
研究4年目に当たる24年度は、研究計画書に沿い、10年後公開ルールによって公表済みの日本銀行金融政策決定会合の議事録・執行部提出資料の詳細分析を柱に据え、他の資料や定量的な分析も加味しながら分析を行った。分析結果によると、決定会合発足後の最初の4年半は、日銀にとってはまさに「金融システム不安との闘い」であったとみることができる。1998年半ば以降は長銀問題等で金融システム不安が一段と高まったあと、1999年3月末の公的資金投入で一旦は鎮静化したものの、それもつかの間、2001年以降の景気後退で不良債権問題が再び深刻化していったからである。この間の日銀の政策過程は、本研究のこれまでの分析によれば、通常の意味での金融政策では追加的緩和の余地が極めて限定される中で、速水総裁らが、金融システムの安定を目指して潤沢な流動性供給を行うという日銀の使命を果たすことに率先して全力を傾注する一方で、政府には抜本的不良債権処理を断固促すという姿勢で一貫していたことを示唆している。 これらの政策に共通しているのは、政治空白等もあって、法案審議や政府の金融対策が遅れがちとなっていた中で、いずれも政府の金融安定化策等が正式に決まる前に、先行して打ち出されたことである。 具体的にみると、①1998年9月9日の0.25%への利下げは、長銀・日債銀等の破綻処理に使われた「金融再生法」の成立(1998年10月2日)の約1か月前、②2001年3月19日の量的緩和政策導入は、政府が不良債権の最終処理を明確に打ち出した「緊急経済対策」(2001年4月6日)の約20日前、③2002年9月18日の銀行保有株式の買い取り発表は、大手行の不良債権処理を大きく促すきっかけとなった金融庁の「金融再生プログラム」(2002年10月30日)の約1か月前となっている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)