2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンICTサービス産業の政治経済学-ICT主導型経済成長の可能性と限界
Project/Area Number |
21530269
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森澤 惠子 Osaka City University, 大学院・創造都市研究科, 教授 (60137180)
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Keywords | フィリピン / ICTサービス産業 / オフショアリング / コールセンター / BOP / KPO / アウトソーシング / ICT主導型経済成長 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究は、第一に、2007年以降の世界的金融危機がフィリピンにおけるオフショア生産に与えた影響についてである。2008年度のフィリピンのオフショア生産は世界的経済危機の影響をうけて0年成長率24%に低下した。2007年までは年平均成長率は3年間連続して50%であった。2009年度は19%の成長率となった。フィリピンの他の産業と比較すれば、依然として高い成長率であるが0フィリピンのオフショア生産は2008年、2009年と連続して、成長率を低めた。2010年までにICTサービス産業の総雇用を100万人、輸出収入を130億ドルにする、世界のオフショア市場の10%を占めるという、「Offshoring & Outsourcing Philippines Roadmap 2010」の達成の見通しは難な状況となった。ただオフショア生産の中でノンボイスBPOの成長率が2008年、2009年と連続で一番高い成長率を示した。フィリピンではコールセンターのような低付加価値のBPOから高付加価値のノンボイスBPO、特にKPOと呼ばれる高付加価値のBPOへと移行に向けて政府と民間の産業協会が協力して取り組んでいる。しかし、オフショア生産の最も大きい推進力は、グローバルなオフショア生産の成長である。このオフショア生産の成長率は現在の世界的経済危機によって減速した。とりわけITOオフショアの減速が大きい。ただ世界的傾向としてITOよりBPOのオフショアが今後大きく高まると予想されており、フィリピンがBOP、特にKPOのオフショア拠点としての成長が期待される。フィリピンでのオフショア生産はPPPと呼ばれる官民協力スタイルによって、推進されているが、この潜在的な成長をいかにフィリピンに取り込めるか、どのような政策が有効で、どのようにフィリピンが政府と民間で協力してBPOのオフショア生産を成長させていくか、引きつづき具体的手法の研究を実施したい。
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