2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンICTサービス産業の政治経済学-ICT主導型経済成長の可能性と限界
Project/Area Number |
21530269
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森澤 惠子 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 教授 (60137180)
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Keywords | フィリピン / ICTサービス産業 / コンタクトセンター / オフショア / KPO / BPO / ICT主導型経済成長 / コールセンター |
Research Abstract |
平成22年度はフィリピンでの調査を、9月(5日から11日まで)と23年2月(16日から20日まで)と、計2回実施した。9月の調査ではセブ市とダバオ市のオフショア生産の現状を調査した。訪問した企業は計12社であり、コンタクトセンターが8社(セブが4社、ダバオ4社)であった。他の4社は設計、ソフトウエア開発、ノンボイスBPO等に従事していた。この調査での発見はセブ、ダバオでのコンタクトセンターの著しい高成長であった。また米系企業だけでなくインド系企業、メキシコ系企業も進出して高成長を遂げていた。これに対してソフトウエア開発や設計等のオフショア生産は今だ2007-08年の世界的金融危機による不況から脱していなかった。この調査によって、フィリピンでのコンタクトセンター(コールセンター)の地方展開が急速に進んでいる点、またコンタクトセンターと一口に言っても簡単な電話応答から、テクニカルサポートまで多岐ににわたり、容易なサービスから比較的高度なサービスまであるという点であった。フィリピンの全体の統計では、ノンボイスBPO、特にKPOの急成長が読み取れるが、それはまだメトロマニラが中心であり、フィリピンの地方都市はコンタクトセンターのオフショア拠点として競争優位を高めていることが分かった。この調査で得た知見は10月の日本国際経済学会で報告すると共に、論文「フィリピンICTサービス産業の地方展開」にまとめた。 23年2月の調査ではCICTの次官とBPAPの主席調査員を訪問し、2010年のフィリピンのICTサービス産業の最新の動向(成長率、サービスの高度化の進展、地方展開、CICTとBPAPの方針、新アキノ政権のICT政策等)について、聞き取り調査を行った。また3月には社会主義国ベトナムのホーチミン市のITBPO企業を訪問し、従事しているサービス、景況、ベトナム政府の支援の有無、ベトナム政府のIT政策等について聞き取り調査を行い、フィリピンのICT政策・支援策との比較を行った。
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