Research Abstract |
22年度研究の目的は、出産意図に対して複数の要因(説明変数)が影響を及ぼすのかどうかということについて、その要因に代替的選択肢を含めることで、影響を及ぼすことになるのかという研究とした。そのような要因の場合、出産意図に有意に影響を与える要因はどれで、どの順番になるのかを研究することである。 2010年5月の日本経済政策学会では、出産意図に対する、代替的選択肢を含めた要因を説明変数として回帰分析した結果を報告した。 順序ロジット分析の結果と標準化回帰係数から、1,夫婦関係、2,肉体的・精神的負担を軽減するために必要なこと、3,世帯収入、4,近隣在住を含めた協力可能な親の同居、という順序となった(1,~4,は代替要因を含む)。 9月の「人口学研究会」定例会では、2,の肉体的・精神的負担の軽減、4,の協力可能な親の同居に関し、それらの内にある選択肢の順序についての研究結果を報告した。 肉体的・精神的負担を軽減に必要な選択肢(代替的選択肢含む)の順序は、(1),職場の仕事が育児と両立できる、(2),児童手当が上がる、(3),夫婦の協力によって家事が軽減される、(4),配偶者の親が家事や育児に協力してくれる、(5),就業時間が短縮され早く帰宅できる、という結果を得た(協力可能な親の同居は略)。なお、他の説明変数の選択肢については有意な順序結果が得られなかった。 12月の国際公共経済学会では、「出生意図と代替的要因を含んだ変数との相関関係ならびにその変数の順序」を男女別に研究した結果を報告した。その結果は、1,(1,)「精神的・肉体的負担」、2,(2,)「部屋数」、3,(3,)「世帯収入」、4,(5,)「預けることが可能な保育園・幼稚園」、5,「家事・育児のための早退社システム」、6,(4,)「本人または配偶者の(協力可能な)親との同居」である(カッコ内の順序は男性、また1,~6,は代替要因を含む)。
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