2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530273
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大平 哲 Keio University, 経済学部, 准教授 (40233259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 厚志 東京国際大学, 経済学部, 教授 (20051906)
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Keywords | タイ / 地域間格差 / 二部門モデル / 非線形回帰 |
Research Abstract |
本研究の目的は、経済発展に伴う所得格差や所得格差の変動を分析する経済理論や計量経済理論を用いて、工業化や金融市場が発展した一方で、いまなお農業部門が重要な産業であり続けているタイの統計データを解析し、それを通じて途上国の経済成長過程における農業部門の重要性を解明することである。平成21年度は (1)理論的な枠組みに基づいた地域別所得の時系列的な変化の把握を行い、 (2)同データを用いて農業、非農業部門に分類された2部門成長モデルの推計を行い、タイの経済成長における特質を調べること、 を重点的におこなった。はじめに、Bourguignon(1990)に代表される二部門成長モデルをMatsuyama(1992)の内生成長論と組み合わせたモデルを作った。さらにこれらのモデルに関する理論的整理を展望論文としてまとめはじめるとともに、モデルから導かれる非線形回帰モデルを、試行的に、地域別産業所得のデータにあてはめ、(2)に関連する作業をおこなった。理論的検討から、経済成長に伴い農産物の重要性が高まることによって、農業部門の相対的貧困度が低くなる点に注目すべきであり、工業部門の優位性が単純に主張できるわけではないことがあきらかになった。回帰分析から、いままで用いた地域別データより詳細な県別データを用いた分析をすることで、何らか政策的含意をもつ実証結果が得られるのではないかとの感触を得ている。県別データを用いた推計で(1)(2)の作業を精緻化する作業を22年度に始めることで問題ないことを確認した。
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