2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530279
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
丸谷 冷史 京都産業大学, 経済学部, 教授 (60030673)
|
Keywords | 多次元的福祉 / 因子分析 / ミクロ・データ / capability approach / Lebenslagenansatz / ドイツ経済 / Alkire/Foster Method |
Research Abstract |
1. 昨年度に引き続き,LLAとCAとの比較を通じてLLAの方法的特徴を考察し,両者の長所を生かした分析の枠組みを構築した.いずれのアプローチにおいても次元間のウェートづけが重要な問題となるが,われわれはこれを多変量解析の方法を適用することによってウェート付けが分析者の主観に偏ることがないように工夫した. 2. ドイツ経済研究所の提供するデータを用いて1.によりLLを推計した.われわれは因子分析によって抽出した(1)所得,(2)住居,(3)時間的ゆとり,(4)教育・文化,(5)雇用・仕事,(6)余暇活動,(7)社会的活動の7因子を評価軸とし,因子得点を変数間のウェート付けに用いた.それによって評価軸の選択とウェート付けの問題に、この方法が有効であることを示した.この結果については22年6月の日本経済政策学会全国大会で報告した. 3. 上記結果を海外の研究者に提示し,概ね良好な評価をえたが,他方でHDIの分野で注目されているAlkire/Fosterの方法(A/F)との比較研究を行うことを要請され,秋以降A/Fによってドイツの貧困問題に取り組んだ.これは22年度の研究計画では記さなかったプログラムであるが,多次元的福祉に関する主要問題の一つと位置づけうる.リサーチの結果を23年3月の日本経済政策学会関西部会で報告した. 4. 上記2の7つの評価軸に沿って年齢,性別,学歴(これはそれ自体LLAの説明変数でもある),地域(東西ドイツ)別のサブ・グループ間の比較分析を行った.これによって個人および世帯の属性による貧富およびQOLの格差を簡潔に分析する方法を開発した.
|