2009 Fiscal Year Annual Research Report
「拡大」のインパクトと金融ショックがEUの労働市場に与える効果に関する研究
Project/Area Number |
21530280
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
本田 雅子 Osaka Sangyo University, 経済学部, 准教授 (50306073)
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Keywords | EU / 労働市場 / 拡大 |
Research Abstract |
本研究は、EUにとって、EU域内労働移動およびEU労働市場の問題がますます重要になってきているという認識の下、「拡大」と近年の「金融ショック」がEU域内労働移動およびEU労働市場にどのような影響を与えるのかを4年間の研究期間において明らかにすることを目的としている。初年度である本年度は、「拡大」がEU域内労働移動にどのような影響を及ぼしたか、とりわけ2004年から自由化を開始したスウェーデン、アイルランド、イギリスを中心に、労働移動の実態と各国にもたらされた経済的インパクト、社会的・政治的影響を明らかにしていくことを重点目標とした。 本年度はEUの関連法規及び政策文書、研究書、学術雑誌等を収集・整理する作業を行いながら、研究の成果としては「EU拡大と労働移動-第5次拡大におけるスウェーデンとラトビアのケース-」という研究論文を発表した。当論文においては3カ国のうち特に労働移動に関する制度適用の優等生とも言えるスウェーデンに焦点をあて、アイルランドとイギリスとの比較を行いながら、実態としてスウェーデンへの労働移動はそれほど大きくないことを明らかにし、また、EUの現行制度の下で「拡大」によって所得の低い中・東欧諸国を含めたことが、スウェーデンの労使関係に大きな軋轢をもたらし、EU統合に緊張関係を生み出したことを示した。さらに、そのような緊張関係はしかし、世界経済のグローバル化と関係しており、EUはその制約の中でこの問題を解決していかなければならないが、EUは解決に当たり、微妙な舵取りをして社会的側面と経済的側面のバランスをとっていく必要があることを論じた。本年度は予定の時期(9~10月)に出張がかなわなかったものの、3月にイギリスを中心に海外現地調査を行い、別のケーススタディのための貴重な資料が収集できた。それによる成果については次年度以降、公表していきたいと考えている。
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