2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代におけるベトナムのインフォーマル部門と労働集約型工業化の可能性
Project/Area Number |
21530281
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
後藤 健太 Kansai University, 経済学部, 准教授 (70454981)
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Keywords | ベトナム / 東南アジア経済 / インフォーマル経済 / 労働集約型工業化 / グローバル・バリュー・チェーン |
Research Abstract |
本年度はホーチミン市の調査対象地域のインフォーマルな縫製部門の生産と流通組織の実態を明らかにするため、事前準備を開始した。具体的にはホーチミン市経済大学と打ち合わせを行い、同大学の協力を得て予備調査を行った。また、東アジアの労働集約型工業化の開発経験の文献などを収集し、比較検討をする際の視点や政策事例などをまとめる作業を行った。 現地機関との打ち合わせの内容としては、まずは調査票の質問事項についての協議とサンプル・フレームの作成が中心となった。サンプル・フレームの作成では、ホーチミン市統計局や民間企業の持つ情報を活用した。さらに、調査票のテストと修正も現地で行い、来年度以降の本調査のベースラインを築くことに主眼を置きながらも、企業調査も小規模ながら実施した。この結果、ある程度まとまったサンプル・データがとれたため、これをもとに英語論文を2本作成し、投稿した。そのうち一本はカンボジアを主眼に置いた労働集約型工業化に関する共著論文であるが、本研究で得たデータが本論文においても比較軸として重要な位置を占めている。当論文は既に査読を経て公刊予定である。また、残り一本はベトナムの労働集約型産業(縫製産業)の発展に関するものであり、現在査読中である。 途上国のインフォーマル経済をグローバル・バリュー・チェーンで論じ、労働集約型工業化論の中に位置づけた論文は国内外でほとんど見られないが、これらの論文の査読が通り公刊されれば、途上国で重要な位置を占めるインフォーマル経済を労働集約型工業化との関連を明らかにすることができ、現在の途上国の工業化政策に重要な示唆を与えうるものと思われる。
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