2012 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代におけるベトナムのインフォーマル部門と労働集約型工業化の可能性
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21530281
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
後藤 健太 関西大学, 経済学部, 准教授 (70454981)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ベトナム / 東南アジア経済 / インフォーマル経済 / 労働集約型工業化 / グローバル・バリュー・チェーン |
Research Abstract |
本年度はホーチミン市のインフォーマルな縫製部門のサンプル調査(n=150)を実施した。その結果、下記のことが明らかとなった。 1)多くのインフォーマル企業でも、著しい賃金の上昇圧力の影響を受け、高度化を成功させることが死活問題となってきている。輸出型企業と異なり、インフォーマル企業の多くは製品仕様の決定や自主的な資材調達にかかわる機能も担っており、自社小売店を整備し、衣類品の流通まで担うなど市場形成にまでかかわる企業も少なくない。輸出型縫製企業が比較的単純で労働集約的な組み立て工程に特化していたのに対し、国内市場を中心とした縫製企業は上述のような、より知識集約度の高い機能を担ってきたのである。この結果、縫製工程に関してはより進んだ輸出型企業と比較して、国内市場を中心に展開するインフォーマル企業のいくつかは、市場の不確実性にまつわるリスクが高いが付加価値も比較的高い、高度な機能を担うことで成長を実現してきた。 2)2009年に収集したサンプルデータを2012年度に収集したデータと照らし合わせ、現在こうした高度な機能を担う能力がどのような条件によって規定されるかに関する計量的な分析を進めている最中である。この分析結果を2013年度中に国際学術誌に投稿する予定である。 2012年度も、昨年度に引き続き、査読付き国際学術誌への掲載論文1本を含む計5本の論文・書籍が公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現地での調査のアレンジをホーチミン市経済大学に依頼しているが、2012年度の現地でのサンプル調査ではこの協力関係が特にうまく機能し、現地調査を遂行できた。また、これまでの期間(4年間)で同研究事業において国際学術誌論文5本を含み、合計11編の論文を公刊することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後に関しては、2013年度が最終年度であるため、現地調査を実施し、また前年度の研究・分析を継続させる。さらに、これまでの5年間の研究を総括し、発表する機会をうかがいたい。これまでも積極的に査読付き論文を中心に公刊してきたが、今後はこれらに加え、学会や国際会議などでの報告の機会も検討していく予定である。
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