2010 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しゲーム・モデルによる地方分権制における財政政策の協調可能性に関する研究
Project/Area Number |
21530290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板谷 淳一 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20168305)
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Keywords | 繰り返しゲーム / 地方分権制 / 協調 / 部分ゲーム完全均衡 |
Research Abstract |
本研究は、地方政府間(地方公共団体)の財政政策あるいは租税政策の協調の可能性に関して多期間にわたる動学的ゲーム(繰り返しゲーム)モデルを用いて分析することを目的とする理論研究である。 本年度は、Itaya,J.,Okamura,M.,and C.Yamaguchi,"Partial Harmonization of Corporate Taxes in an Asymmetric Repeated Game Setting",Discussion Paper Series A,229,Hokkaido Universityでは、繰り返しゲームを用いて、経済に存在するすべての国(あるいは地域)ではなく、一部分の地域間あるいは国家間での資本税率に関する租税協調の可能性を分析する研究を行った。本年度の研究では、資本の初期保有量が異なる3ヶ国モデルを想定して、3ヶ国間の様々な組み合わせによる税率の部分協調(partial tax coordination)を考え、いかなる条件下で、それぞれの組み合わせの部分協調が維持可能性(sustainability)であるかを分析した。前年度の研究では部分協調をする国も部分協調に入らない国も同質的であると仮定したが、本年度の部分協調モデルでは構成メンバーの国が資本の初期保有量に関して非同質な国を想定している。そして、3国間の資本の初期保有量分布の変化が、部分協調の維持可能性(sustainability)に対してどのような影響を及ぼすかを研究した。その結果、いくつかの興味深い結果が得られた。 (1)3ヶ国が資本の初期保有量が等距離に分布した場合、部分協調は維持不可能になる。 (2)中規模の国の資本の初期保有量が大規模あるいは小規模の国の初期保有量に近づくほど部分協調は起こりやすくなる。 (3)3ヶ国全部での協調(full coordination)の方が部分協調に比べて必ずしも起こりにくいとは限らない。 (4)中規模の国を入った部分協調の場合、常に中規模の国の方が協調を逸脱するインセンティブが強い。
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