2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21530294
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤巻 一男 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20456346)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 租税負担 / 受益 / 納税者意識 / 社会心理学 / 消費税 / 付加価値税 / 所得税 / 番号制度 |
Research Abstract |
平成24年度では、以下の①~③に示した研究成果を統合的に整理し、「所得税・消費税・法人税の負担の在り方と日本人の納税者意識-社会調査の分析結果を踏まえて-」(仮題)と題する論文(A4で180頁程度)の執筆に取り組んだ。 ① 平成23年8月30日~9月1日に実施したネットリサーチによるアンケート調査の分析結果を踏まえ、平成24年3月に単行本『日本人の納税者意識』(税務経理協会)を上梓した(23年度の実績)。 ② 平成24年9月25日~27日に実施したネットリサーチによるアンケート調査の分析結果を踏まえ、平成25年1~2月に論文「所得税と消費税の特徴に関する比較評価について(上)(下)」(税経通信68巻1号147~157頁、68巻3号165~178頁)を発表した(24年度の実績)。この調査は、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法が平成24年8月10日に国会で成立したことを受けて、人々がどのような反応を示すのかを把握することを目的の一つとして実施したものである。 ③ 平成25年3月18日~21日にネットリサーチによるアンケート調査を実施した(24年度の実績)。この調査は、人々の税金への関心が高まりやすい確定申告の直後に実施したものである。 本論文では、人々がどのような社会システムを望んでいるのか、また、それを支える財源となる租税について人々がどのように考えているのかを把握し、その分析結果と各税制の基本的仕組みや特徴を踏まえつつ、税制改革の基本理念である「公平・中立・簡素の原則」を基準にして、基幹税である所得税、消費税、法人税の負担の在り方について考察したものである。このように本論文は、各税の負担の在り方を日本人の納税者意識から説き起こしている点に特徴がある。なお、本論文の発表方法については未定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画段階では、アンケートの実施について、標本を電話番号帳から無作為抽出し郵送により回答を回収する方法などを検討していたが、回収率、実施費用、事務負担、集計効率等を考慮した結果、最終的にネットリサーチによる方法を採用した。社会調査には各種の方法があり、いずれにも長短があるが、ネットリサーチを実際に活用してみたところ、他の世論調査の結果と比べても、ある程度の精度は確保できたと考えられる。また、ネットリサーチは集計効率が高いために、時間を節約することができ、その分を論文執筆に当てることができた。さらに、社会保障・税一体改革関連法の成立後の時期をとらえてタイムリーに実施することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究課題の最終年度に当たることから、研究の重要度が高いにもかかわらず未着手ないし希薄域の分野を洗い出し、研究計画を再構築していきたい。 これまでは、企業関係者(会社幹部、個人事業者等)に焦点を当てた意識調査を実施してこなかった。企業は、法人税や消費税等の納税義務者や源泉徴収義務者であり、各税法の施行において、主要な役割を演じている。今後は、ネットリサーチや実地調査を通じて、企業関係者の税制等に関する意識を把握していきたい。ただし、25年度の直接経費は300,000円と限りがあることから、当面はネットリサーチにより、その方面の調査を実施することを予定している。企業関係者に対する実地調査としては、税理士会等を介して行う方法が考えられるが、25年度はその具体的方法について検討することにしたい。
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Research Products
(2 results)