2010 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機のマクロ動学理論研究-所得分配、負債加重、金融資産の視点から-
Project/Area Number |
21530299
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
二宮 健史郎 滋賀大学, 経済学部, 教授 (30273395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 博之 大分大学, 経済学部, 教授 (10264326)
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Keywords | 金融の不安定性 / Profit Sharing / 負債 / 金融政策 / 金融資産 |
Research Abstract |
サブプライム問題に端を発した金融危機により、世界経済の不透明性は一層深まっている。このような中、Minsky(1975)(1982)(1986)により提唱された金融不安定性仮説への関心が高まっている。本研究では、所得分配、金融資産、負債等の観点を考慮した閉鎖体系、開放体系の金融不安定性のマクロ動学モデルを構築し、金融危機(金融の不安定性、循環)を考察することを主たる目的としている。 今年度は、Profit Sharingを考慮した金融不安定性のマクロ動学モデルを構築し、Profit Sharingルールの採用が経済を不安定化させる可能性を示した(二宮・高見(2010))。また、「確信の不安定性」という概念を導入した閉鎖体系の金融不安定性のマクロ動学モデルを構築し、「確信の不安定性」の高まりがある条件のもと経済を不安定化させることを導出した。そして、我が国において、1990年代半ばから「確信の不安定性」が高まり、経済が不安定化した可能性があることを、VARモデルを用いた実証分析において示した(二宮・得田(2010))。さらに、韓国経済において「確信の不安定性」を計測し、1997-98年、2007-08に高まり、1997年を境に金融構造が安定的に変化していることを示した。そして、モデルを開放体系に拡張して、安定的な金融構造、変動為替相場制の動学体系が経済を安定化させることを示した(Ninomiya and Tokuda(2011))。
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