2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530300
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
常木 淳 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (10207425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹澤 成弘 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90252717)
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Keywords | 厚生経済学 / 二重の基準論 / 不法行為法 / 法政策分析 / 法解釈学 |
Research Abstract |
法制度設計におけるメカニズム・デザイン論の役割について、法学基礎論、憲法理論、不法行為法に関連する研究を行った。法学基礎論の分野では、法学の伝統的方法論である法解釈学の研究戦略を、メカニズム・デザインの方法論に関連する法政策分析のそれと対比し、今後の法学研究が狭義の法解釈学的研究からメカニズム・デザインの方法をとりいれたものへと進化する必要性を論じた。 憲法理論に関しては、メカニズム・デザイン論に基づく法政策のデザイン論が、日本国憲法の予定する法に関する理解と整合的であることを論じた。特に、日本国憲法における通説としての「二重の基準」論が、立法政策においてメカニズム・デザイン論を適用する上での憲法上の根拠となりうることを論じた。 不法行為法については、メカニズム・デザイン論の応用によって、企業の生産過程における事故に関する被害者の法的救済システムを分析した。通説では、加害者の企業が完全競争的な環境で営業しているのであれば、被害者に対する損害賠償による救済は、過失責任よりも無過失責任の原則に基づく方が経済効率的に望ましいとするものであったが、不完全競争環境、特に、競合可能市場における自然独占的企業が財を供給している場合には、多くの場合、過失責任システムが経済効率において勝っていることを論証した。 これらの成果は、1本の英文査読付き学術ジャーナル,1本の専門学術誌に掲載される研究論文として、また、1本の学術書中の1章として、研究論文にまとめられた。
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Research Products
(3 results)