2011 Fiscal Year Annual Research Report
地方公共サービスの広域化による経済効果の理論・実証研究
Project/Area Number |
21530309
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田平 正典 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (00122177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和之 富山大学, 経済学部, 教授 (60262490)
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Keywords | 一般化ローレンツ支配基準 / 環境水準 / 医療資源の分布 / サービス供給の分配効果 / サービス供給と社会厚生 / 広域行政 / ゴミ処理サービス / 地域間格差 |
Research Abstract |
田平、中村は協同して、社会厚生の観点から公共サービスの広域供給の効果やあり方を考察するための枠組みを研究した.具体的に中村は,第1に,Shorrocksによる一般化ローレンツ支配基準を複数属性の場合に拡張するとともに,これを用いて数量分析を行う手法を研究した.その基準は「増加凹関数に関する二次の確率優位」とほぼ同様なものであるが,本研究ではその支配関係を線形計画法によって確認する手順を示し,その主問題や双対問題の解に対する経済学的な解釈を与えた.この研究によって,公共サービスの広域的な供給を,分配面から評価する枠組みを整えるとともに,その理論的な基礎付けをおこなった.第二に,上述の手法を適用して,中国における所得や環境水準(二酸化硫黄排出量),医療資源(医師数)の分布についてのデータを利用して、それらの地域間格差の動向を評価した.城市ベースの統計に基づき2005~2009年度を対象とした分析の結果,急速な経済成長によって所得の改善はほぼすべての年度で観察されるものの,環境水準や医療資源の分布も考慮した社会厚生が,過去と比較して疑いなく改善されたとは言いがたいとの結論を得た.とりわけ内陸部の農村地域における医療資源の不足が社会厚生改善の隘路となっていることが示された.また,属性毎にその分布を評価すれば近年の分布は過去と比較して望ましいと考えられるにも関わらず,これらを総合的に評価すれば社会厚生が改善されたとは言えないケースも観察された.このことより,地方公共サービスの広域化の効果を分配側面から評価するためには,個別のサービス毎の評価に加えて,所得水準や多様な公共サービスを包摂した分所が必要であることが明らかとなった.第三に,都市部で失業が存在する場合の広域的なごみ処理サービス供給のあり方に関する研究成果(前年度にワーキングペーパーとして発表)を学術雑誌に掲載した.田平は,ゴミ処理,下水道,小・中学校の各サービスが広域化に伴って費用がどう変化してきたかについて資料を収集し実証分析を試みた.
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Research Products
(3 results)