2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530311
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
飯田 隆雄 札幌大学, 経済学部, 教授 (00193136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 玲良 札幌大学, 経済学部, 教授 (50364203)
加藤 晃 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70177426)
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Keywords | 上限金利規制 / 総量規制 / 定額給付金 / 多重債務 / ヤミ金融 / 改正貸金業法 / 消費者金融 |
Research Abstract |
本研究は、2010年6月18日に完全実施された「改正貸金業法」による、「上限金利規制」や「総量規制」などの規制強化が、消費者金融市場に及ぼした経済現象を、以下の2点から分析した。 (1)産業組織論と行動経済学の視点から、理論的・実証的に分析し、その政策効果の是非を再検証する。 (2)ヤミ金融対策や多重債務者問題に対する経済学的な有効策を導出する。 特に、平成21年(2009)度から23年(2011)度の3年間で、「改正貸金業法」のI.上限金利の引き下げ、II.過剰貸付の抑制・返済能力審査の強化、III.貸金業の参入条件の厳格化、といった内容に焦点を合わせて研究を進めた。 本年度は、III.貸金業の参入条件の厳格化の分析とこれまでの研究(I.上限金利の引き下げ、II.過剰貸付の抑制・返済能力審査の強化、III.貸金業の参入条件の厳格化の分析)のとりまとめ、及び成果の公表を中心に研究を進めた。 2009度に向けての対GDP比成長率で換算すると、上限金利規制の経済効果は全国で-0.47%、大阪府-0.315%、北海道-2.28%、総量規制の経済効果は全国で-0.51%、大阪府-0.64%、北海道-0.25%、プラスの経済効果となる定額給付金では全国で+0.31%、大阪府+0.20%、北海道+0.30%となった。これらの政策の集計はGDP成長率ベースで、全国では-0.67%、大阪府-0.75%、北海道-0.23%となった。ちなみに、2009年度のGDP成長率は全国で、-3.7%、大阪府-6.0%、北海道-1.1%であった。 改正貸金業法による法の改正による経済のマイナス効果は、直接給付の定額給付金の効果を上回り、全国では-18%、大阪府では-13%、北海道では-21%というGDP成長率のシエアとなり、当時の経済成長率に対して、大きな足かせとなった。当時、景気回復の目玉となる政策は無く、過年度から引き続いている経済金融政策のみであったことから、合法営業である貸金企業を、経済の影響を充分に調査しないで業界を崩壊させた影響は、この産業で働く従業員や家族、このサービスを利用して生計を立てている企業や利用者に、多くの困難をもたらした。
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