2009 Fiscal Year Annual Research Report
我が国高齢化社会における医療政策の産業関連を取り入れた数値解析的動学一般均衡分析
Project/Area Number |
21530317
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 竜太 International University of Japan, 国際関係学研究科, 教授 (60242971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川出 真澄 新潟大学, 経済学部, 准教授 (00361890)
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Keywords | 医療政策 / 人口高齢化 / 一般均衡分析 / 産業連関 / シミュレーション分析 |
Research Abstract |
急速な高齢化社会が我が国で予想される中、我が国の私的な医療産業はますます重要性を持つであろう。それは安定的な経済成長を持続するための重要な産業であるばかりでなく、公的医療制度が安定的に維持されるためにも補完的な役割としてますます重要な産業となる。このような問題意識の中、当該研究では、様々な医療政策の効果を数値解析的な一般均衡シミュレーションモデルによって体系的に分析した。具体的には最新の産業連関表に基づいて静学的な数値解析的な一般均衡シミュレーションモデルを構築した。当該研究でわかったことは以下の通りである。まずはじめに、様々な医療政策(税・補助金政策)のなか、民間病院や民間医療検査機関が含まれる産業への補助金政策が社会全体の厚生を引き上げるためには一番有効であることがわかった。たとえば、仮に、民間病院が含まれる産業への補助金率を現行水準から10%引き上げた場合、その効果は約974億円に上ると推定される。ただ、これは補助金の財源を考慮しない場合であり、一種の公債発行による補助金政策である。一方、同じ補助金政策を行うと同時にその財源を所得税に求めた場合、逆に約542億円の損失になることが推定される。したがって、政策議論を展開する場合、如何にその財源をどこに求めるかということが重要な鍵となる。一方、同じ補助金政策の財源を同じ産業、すなわち民間病院や民間医療検査機関が含まれている産業に課されている税によって賄った場合、このようなマイナスの効果は生じない。たとえば、民間病院が含まれる産業への補助金率を現行水準から10%引き上げ、かつその財源を同じ産業への税によってまかった場合は、社会全体で約1200万円のプラスの効果が予想される。
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Research Products
(1 results)