2011 Fiscal Year Annual Research Report
我が国高齢化社会における医療政策の産業関連を取り入れた数値解析的動学一般均衡分析
Project/Area Number |
21530317
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
加藤 竜太 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (60242971)
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Keywords | 医療政策 / 産業連関表 / 一般均衡モデル / 人口高齢化 / シミュレーション / 数値解析 / 医療産業 / 厚生分析 |
Research Abstract |
当該年度では前年度までに精緻化された最新の社会会計表、産業連関表を使ったFORTRANプログラムで計算を行い、幾つかの論文に仕上げることができた。その中でも我が国の医療制度改革の経済成長などへの長期的影響分析、また、医療政策として、どのような医療産業への課税、補助金政策が経済全体にとって望ましいかという厚生分析を行った。これらは既に発表論文として公表されている。まず、我が国の医療制度改革の経済成長などへの長期的影響分析であるが、公的医療保険制度に於ける自己負担率の上昇は各人の貯蓄を上昇させ、長期的には経済成長にプラスに作用することが数値的に示された。一方、医療技術の進歩による国民医療費の上昇への効果はかなり小さく、むしろ人口高齢化の影響が大きいことが示された。また、医療政策としての税・補助金政策は医療供給主体をそれ自身産業としてとらえ、既に課税されている様々な医療産業への税・補助金政策がどれほどまでに各医療産業や経済全体に影響を与え、経済全体として厚生が上昇するような医療政策があるか否かを数値的に分析した。そこでは病院産業に既に分配されている補助金を減少させ、その財源を福祉部門に再配分する政策が経済全体にとっても厚生を上昇させることが示された。当然のことながら、このような政策下では病院部門が不利益を受けるわけであるが、少なくとも病院部門の所得が不変に保つように定額補助を病院部門に与える事によって病院部門も不利益を被ることなくこのような政策が可能な点も数値的に示すことができた。これは病院部門への多くの補助金を減少させる事による経済効率性の上昇が結果的には経済全体にプラスに作用し、そのプラスの効果によって病院部門への定額補助が新たな財源を確保することなく政策を実施させることができるからである。
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