2009 Fiscal Year Annual Research Report
日次投信ファンドフローと投資家センチメントに関する実証研究
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21530321
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
平木 多賀人 Kwansei Gakuin University, 経営戦略研究科, 教授 (50208815)
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Keywords | 投資家行動 / センチメント・ファクター / ファンドフロー / 投資信託 / アセット・プライシング |
Research Abstract |
本研究のこれまでの成果は、投資家のスタイル別株式投資信託への日次資金流出入が真に投資家センチメントを代理するかどうかを資産評価のクロスセクション価格形成の観点で検証し、抽出したセンチメント・ファクターが価格付けされていることをほぼ確認できた点である。その検証は可能な限りミクロ化した次元、つまり日次で、約2,000の本邦オープン型株式投資信託を対象に、投信スタイル別フロー分析から開始し、そこから3つのフロー要因を抽出し、その価格付けを検証した。具体的には、インデックス、待機資金プール、そしてベア型ファンドへのフロー(基準化・平均化要)を最適ウェイトで線形結合させることで得られるセンチメント・ファクターが市場で有意に価格付けされることを日次データにおいて、期待通り、より明確に確認することができた。マネープールとベアファンドへのフローがセンチメントとして理解されるのは直感的であり、予測は自明である。しかし、インデックス型と判定されるファンドへのフローがなぜ投資家のセンチメントと関連するかについては、異論が出された。現在、この批判を受け止め、情報非対称以外の問題から、インデックスへのフローがセンチメントを表すことの証明に取り掛かっている。特に、R.Greenwood(RFS, 2007)"Excess Comovement of Stock Returns : Evidence from Cross-Sectional Variation in Nikkei 225 Weights"から、日経インデックス固有の偏向が同インデックスの一部構成銘柄にファンダメンタルとかい離するリターンとそれに伴うフローを、市場状況に依存する形で、発生させるメカニズムが存在することが分かってきた。この結果を尊重し、対象を日経インデックス・スタイルに限定することによって、新発見を既存の文献に合致させているところである。本課題の発見は行動ファイナンスに基づく説明が十分可能であり、本課題の成果は理論矛盾なく正式に発表可能となる。
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