2010 Fiscal Year Annual Research Report
日次投信ファンドフローと投資家センチメントに関する実証研究
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21530321
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
平木 多賀人 東京理科大学, 経営学部・経営学科, 教授 (50208815)
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Keywords | 投資家行動 / センチメントファクター / 資産評価モデル / 投資信託市場 |
Research Abstract |
本研究の目的は小口投資家が中心のオープン型株式投資信託への資金流出入、つまりファンドフローとリターンに焦点をあて、投資家センチメントを抽出・ファクター化し、リスクファクターとして価格付けされているかどうか日次で全投信資産データを使用して多面的に検証することである。 1年目の研究においては、資産評価のクロスセクションでの価格形成に焦点をおいて、伝統的APT(裁定評価理論)モデルのファクター・リスクで制御した後においも、投信フローから抽出・合成したセンチメントファクターが統計的・経済的に有意に価格付けされていることを発見した。この発見により、非合理行動ファクターには価格予測力はあっても市場で価格付けされないというこれまでの定説を崩すことになった。 1年目での発見の意義をさらに強固にする実証作業が2年目(H22年度)の課題として取り行われた。まず、日次投信フローデータの大幅な拡充を図った。サンプル期間をより直近までとした他に、サンプルに巣くっていた生存バイアスを排除し、検証上の改善を行った。次に、新しく推定したセンチメントファクターを(国内)投信リターンだけでなく、海外資産のリターン予測とその価格付けの検証に適用した。価格付けはおおむね支持される結果が得られた。第3に、検証をより頑健なものにすべく、アウト・オブ・サンプルサンプルでの本格的枠組み(ファーマー=フレンチファクター3ファクター算出の際使用される3次元(3×3=27)属性ポートフォーリオ)を構築した。この部分の検証はまだ十分ではないので、最終(次)年度に持ち越されなければならない。 これまでの発見は資産運用実務に重要な貢献が可能な結果がそろいつつある。
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Research Products
(1 results)