2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530322
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
羽森 直子 University of Marketing and Distribution Sciences, 情報学部, 教授 (00238081)
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Keywords | 金融論 / 金融システム / ドイツ:日本:EU |
Research Abstract |
1999年にEUで単一通貨ユーロが導入され、加盟国であるドイツの金融システムにも多大な影響を与えた。ユーロ地域の今後の展開についての考察は、ドイツの金融システムの今後の動向を予測するうえで重要である。そこで、「ユーロ地域の拡大の現状と展望」(流通科学大学論集)では、ユーロ地域の成立と拡大について、これまでの経緯、現状と課題を整理し、今後の展望を考察した。ユーロが誕生した際経済通貨同盟(EMU)に参加せず、ユーロを導入しなかったEU加盟国、1999年以降新たにEUに加盟した国のなかでユーロ導入を実現した国、新規EU加盟国でEMU参加条件の一つである欧州為替相場メカニズム(ERMII)に参加しているが、ユーロ導入には至っていない国、新規EU加盟国でERMIIに不参加の国という4つのグループに分けて、各国および各グループの特徴や課題を明らかにした。今後ユーロ地域が拡大するためには、ユーロ導入を目指す国々がインフレを克服し、ユーロ地域との持続的経済的収斂を達成することが必要である。 またユーロの導入に伴い設立された欧州中央銀行は、ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行をモデルにしていると言われ、両行の組織や法的な形態の特徴、マネーサプライの動向を重視して物価安定を最優先させる金融政策運営方法などが極めて類似している。そこで、『Introduction of the Euro and the Monetary Policy of the European Central Bank(ユーロの導入と欧州中央銀行の金融政策)』(World Scientific Pub.Co.Inc.)では、欧州中央銀行の金融政策の特徴と政策効果について、制度的な分析にとどまらず計量経済学的手法を用いた検証を多角的に行った。
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