2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランス帝国における経済システムの進化と交錯の組織史
Project/Area Number |
21530324
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 哲彦 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80312338)
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Keywords | 会議所 / 経済史 / コンゴ / ザンビア / インドシナ / カンボジア / 帝国 / 植民地 |
Research Abstract |
本研究は、フランス型経済システムが帝国時代から独立時代に至るまで、いかに旧植民地の中で普及し、現地化または相互交流するかを比較分析する。商工会議所や国策会社は、各時代の政府政策と市場経済が交わる経済システムの「交錯」点だ。植民地時代は行政府と地元財界の情報交換の窓口となり、独立・社会主義時代は計画経済に組み込まれ、自由化時代には国際貿易の窓口になった。本研究では、宗主国の統制の強い北アフリカ、中間的なサハラ以南アフリカ、現地化が進んだ旧インドシナの3類型を想定する。 本年度は旧インドシナとサハラ以南アフリカを対象にした。旧インドシナでは、カンボジア国立文書館において植民地時代の貿易統計を複写し、在プノンペン・フランス文化センターの協力で、植民地時代の仏語古書と英仏語研究書を収集した。アフリカでは、コンゴ・ザンビア・ケニアを調査した。内戦のため長らく経済史研究の空白地域だったが、コンゴの外務省危険情報がレベル3から2に下がった直後、指導する現地人学生の支援で現地調査に成功した。 コンゴ・ザンビア・ケニアは、政治的にはフランス帝国・ベルギー帝国・イギリス帝国、経済的には銅鉱脈、社会的にはスワヒリ語圏が「交錯」する。コンゴ独立後、モブツ独裁政権は旧宗主国を排除するため日系企業を呼び込む。が、日系企業は、旧宗主国=植民地対立、内戦、市況悪化に巻き込まれ、苦難の道を歩む。コンゴのGecamines社とSodimico社、ザンビアの鉱業会議所とZCCM社の経営史については、半世紀分近い年報の複写を実現した。日本鉱業のコンゴ進出史に関しては、ムソシ鉱山や旧日本人社宅を訪問調査し、幹部社員10名以上を仏語でインタビューした。日本人墓地も、日本鉱業撤退後は内戦のため訪問者が途絶えていたが、藪を刈って再発見した。これらの調査結果の一部はディスカッションペーパーにまとめた。
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Research Products
(2 results)