2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦前日本における小農と工場労働者の就業態度:織物業の女性労働者の事例を中心に
Project/Area Number |
21530329
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荻山 正浩 Chiba University, 法経学部, 准教授 (90323469)
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Keywords | 小農 / 工場労働者 / 織物業 / 労働供給 / 農業生産 / 賃金 / 家内工業 / 工場 |
Research Abstract |
平成21年度,下記の3つの課題を遂行した。 1.後進地域の小農の労働供給継続課題として,第一次大戦期前後の秋田県北部に焦点を当て,農業生産の発展が小農の労働供給に与えた影響を分析し,秋田県北部のような後進地域でも,農業生産の発展によって,小農にとって非農業部門に世帯内の労働力を送り出す必要性が低下し,その結果,非農業部門では深刻な人手不足が発生したことを明らかにした。そして,この成果をまとめて国内の学術誌に発表した(『社会経済史学』第75巻第4号[2009年11月])。 2.織物業の生産形態の変化と農業生産の発展織物業の産地である大阪府泉南地方と富山県砺波地方を対象として,家内工業から工場制工業への織物業の生産形態の転換が小農の就業態度にいかなる影響を与えたかを分析した。両地域では,織物業の生産形態の転換によって,織物業全体の労働需要が縮小していたが,他方で農業生産が発展し,小農は農業収入の増加を期待できたため,織物工場に働き手を送り出すことに消極的な姿勢を示し,その結果,織物工場の経営者は,人手を確保し,さらに働き手の就労を促すためにはその賃金を引き上げる必要に迫られた。この成果をまとめて国内の学会において報告を行った(第78回社会経済史学会全国大会於東洋大学2009年9月)。 3.資料調査後進地域の小農と工場労働者の就業態度を分析するため,島根県立図書館,宮崎県文書センター,大分県立先哲史料館,徳島県立文書館,藍住町歴史館(徳島県)において資料調査を行った。
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