2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国、米国、日本の政府資料に見る中国東北経済の戦後復興
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21530340
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 俊郎 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (70135929)
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Keywords | 中国東北 / 工業化 / 档案資料 / 経済復興 |
Research Abstract |
吉林省桜案館に所蔵されている1940年代後半ならびに1950年代の工業化問題に関する档案資料を調査して、目録化した。当該の档案資料については『吉林省档案館指南』によって資料群としての存在が知られていたが、個々の資料の具体的な内容についてはもちろんのこと、それらの資料の名称、作成日等が不明であった。外国人研究者に対しては、資料の閲覧が認められてこなかったためである。 今回、存在を確認し、収集した資料の分量は約1万3千字である(A4版15ページ)。幸運にも資料の閲覧が認められたとはいえ、利用にあたっては写真撮影、複写機の利用が禁止された。このため記録はすべて筆写で行い、帰国後にパソコンへ入力した。これらの資料について分析を行った論文は見当たらず、これまで学術的に利用されたことはなかったものと推測される。 調査対象の時期として設定した1940年代後半と1950年代は、1945年8月の満洲国の倒壊から1948年11月にいたるまで中国東北で続けられた国共内戦の時期と、社会主義中国の建国(1949年10月)を経てソ連からの支援を受けながら推し進められた1950年代における三年復興期(1949-52年)、第一次五カ年計画期(1953-57年)にあたる。この過程で中国東北の工業施設は破壊と修復と新設を繰り返した。そして再建された中国東北の工業は、1960-1970年代には中国全体の工業を支えるもっとも中心的な位置を占めるようになった。しかし、戦後の中国工業の中核となった東北の工業が内戦時期、三年復興期、そして第1次五カ年計画期にどのような状態であったのかという問題については、今日でも一次資料による検証はほとんど進んでいない。発掘した資料は、この問題を検討するための貴重な基本資料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最大の理由は、2009年秋に档案館が転居し、訪中調査が可能となる大学の夏季休暇、冬期休暇の時期に資料を閲覧するための時間を集中して確保することができなかったことにある。また、その間に資料を公開する際の運用方法にも変化があり、許可を得て当初は閲覧予定に含めていた档案資料の中にも、施設の転居後になって閲覧できなくなった資料がある。
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Strategy for Future Research Activity |
整理と入力作業が終わった吉林省档案館所蔵資料の筆写資料を目録・解説として公刊する。 特に重要な資料について、内容を分析し、論文化する。
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Research Products
(2 results)