2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニュー・エコノミーとアメリカ経済の再編--1929年大恐慌期との対比において
Project/Area Number |
21530343
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
秋元 英一 Teikyo Heisei University, 現代ライフ学部, 教授 (00064113)
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Keywords | ニュー・エコノミー / バブル / 1929年大恐慌 / ベンジャミン・ストロング / テクノロジー / 経済エリート / 国際金融協力 / アーヴィング・フィッシャー |
Research Abstract |
今年度は、タイミング良く、二つの学術団体から学会報告の要請を受けたので、研究計画の実施もそれと並行して行うこととなった。一つは、韓国ソウル大学アメリカ研究所主催の国際会議での報告、「ベンジャミン・ストロングと1920年代における国際金融協力」であり、ニューヨーク連銀総裁のストロングとイングランド銀行総裁ノーマンらとの金本位制復興のための国際的協力関係を跡づけた。第二は、政治経済学・経済史学会共通論題報告、「アメリカ大恐慌下における経済政策ビジョンをめぐるエリートと民衆の交錯」である。後者はとくに、これまでの私の大恐慌研究と近年の研究史の状況を踏まえながら、大恐慌期の産業構造再編と政府経済政策の関連を問うたものである。これとの関連で、ロンドン大学・オクスフォード大学を訪問して、ドイツ経済史家のアルブレヒト・リッチェルやイギリス経済史のロバート・アレンと交流できたので大恐慌期における賃金上昇の問題やテクノロジーがそれにどう関わるかについてヒントが得られた。一つの観点は、賃金の上昇が、テクノロジー飛躍の契機となり得ることの確認である。また、ケンブリッジ大学をベースに活動しているベネズエラ出身の女性経済学者カーロッタ・ペレス氏と懇談したことは、バブルとニュー・エコノミー、そしてテクノロジーの関連についての氏の見地を知る上でまたとない機会であった。先のストロングは、ミルトン・フリードマンらが彼の早すぎる死がアメリカの大恐慌を悪化させたと断じたために、論争の的となったのだが、彼のペーパーを読むことが課題遂行のために必須となったので、急遽ニューヨーク連銀アーカイブスにアプライして1週間のリサーチを行った。コピー依頼をした大量の文書が未着なので、論文作成、および、それと課題遂行との関連をどうつけるかは、来年度の課題となった。
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