2012 Fiscal Year Annual Research Report
進化シミュレーションによるライセンシング・ネットワークの研究
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21530351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸夫 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30171507)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 殻 / NIH症候群 / トラジェクトリ / 経験曲線 / UNIXライセンス / Linux / T型フォード / ENIAC |
Research Abstract |
一昨年の東日本大震災を機に、研究のスタイルと作業手順をやや変更し、これまでに調査してきた事例や質問票データ、さらに、これまでに収集してきたライセンス・ネットワークに関する資料や文献をもとにして、研究成果として整理してまとめることにかなりの時間を投入してきた。その成果として、T型フォードやENIAC、IBM System/360といった歴史的な事象については、昨年度、既に何本かの論文にして発表してきた。その際に、重要な役割を果たしたのが、ヴェーバーの「殻」概念なので、本年度は、それを前面に打ち出して、より詳細な検討を加え、さらにコンピュータ・シミュレーションの結果とも絡めつつ、一般の読者向けに1冊の単著の本『殻―脱じり貧の経営―』にまとめ、年度末3月にミネルヴァ書房から出版した。 また、研究成果の対外発信にも本腰を入れて取り組み始めている。研究成果の英文化に着手しており、イノベーションのNIH症候群に関する論文(Takahashi & Inamizu, 2012)、技術的トラジェクトリに関する論文(Takahashi, Shintaku, & Ohkawa, 2013)、経験曲線に関する論文(Takahashi, 2012)、UNIXライセンスがLinuxを急成長させたことを明らかにした論文(Takahashi & Takamatsu, 2013)を英文化して発表した。 この他にも、本研究課題から派生したテーマについて、企業文化論に関する論文を『経済セミナー』に、人材育成に関する論文を『運輸と経済』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響で、研究スタイルの一部変更を余儀なくされたが、それにもかかわらず、おおむね順調に研究成果を出してきており、目標の一つにしていた書籍の出版にもこぎつけたので。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度なので、研究成果の対外発信に集中的に取り組みたい。本研究課題のメインの部分は、日本企業の調査研究をもとにしているために、英語で表現しにくい概念や現象が多く存在しており、慎重にかつ入念に英文化の作業に取り組みたい。
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