2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530353
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
咲川 孝 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80272805)
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Keywords | 組織文化 / 人的資源管理 |
Research Abstract |
製造現場を研究対象として、そこで実践されている、HRMの慣行と、製造成果、及び製造形態との関連を中国にて調査をした。中国、遼寧省、大連市にて、その調査を実施した。同市は、日系の電機関連の製造業が集積しており、それらを調査した。アンケート票を用いて、現地に訪問をして調査をした。管理者、現場のリーダーを対象として調査をした。この調査で得られたデータと、3年前の同種の調査によって得られた、日本に所在する製造業からのデータとを結合することにした。それによって、HRMの慣行に関して、それぞれの国における違いが理解できるからである。この違いには、国の特性、例えば、国の文化、労働市場などが関連していると想定される。特に、本調査の観点から、国の文化に着眼をした。ここでは個別の企業文化そのものは今回では調査対象としていないが、このような国の文化的環境は個別の企業の文化にも反映していると想定される。 特に、関心があったのは、HRMの慣行と製造形態との交互作用に対して、国の特性が影響を与えるか、つまりHRMの慣行*製造形態*国の特性との間の三方向の交互作用であった。主たる結果は以下の通りであった。HRMの慣行と製造形態との間では二方向の交互作用は確認されなかった。しかし、国の特性、具体的には製造拠点が日本であるか、中国であるかということが、この交互作用に影響を及ぼしていた。より具体的には、製造拠点が日本の場合、HRMの慣行チーム生産方式であるセル生産との間で、製造成果に正の影響を与えることが明になった。一方、中国の場合には、このような効果がみられなかった。これは日本と中国に比べて、同じ儒教社会であったとしても、日本の集団主義、及び平等主義に基づくチームワークが、このような違いを生じたと理解される。一方、中国と日本を比べると、中国において、改善活動と製造形態との間で、正の関係が顕著であった。これは、日本に比べて、中国では、学習効果がより高まっていることと関連があると理解される。このように、国の文化を含む国の特性が、HRMの慣行と製造形態との相乗効果に影響を与え、その結果、製造成果にも影響がみられると理解される。 このようにして、国の文化、それを反映した組織文化と人的資源との関連がみられた。これが重要な調査結果である。
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