2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530363
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
風間 信隆 明治大学, 商学部, 教授 (60130803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 健 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (70453561)
清水 一之 明治大学, 経営学部, 専任講師 (80515081)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 企業システム / 資本市場 / 労使共同決定 / グルーバル化 / 多様性 / 制度の共通化 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究は,1990年代以降、とくに資本市場のグローバル化の影響を受けてドイツにおいても経営者の監視・コントロールのあり方を問い直す動きが高まっていることに注目しつつ、伝統的なドイツ型企業システムないし「企業統治」(Corporate Governance : Unternehmungeverfassung)システムが徐々に進化を遂げており、これがドイツの伝統的な労使共同決定や労使関係制度、さらには経営者昇格のキャリア・パターンにも大きな影響を及ぼしていることを実証的に解明することを目的としている。 本年度は,研究初年度に引き続いて平成23年8月にドイツ調査を実施した。すなわち,ケルンのハンス・ベックラー財団やベルリンのドイツ使用者連盟(BDA)およびベルリン社会科学研究センター(WZB)のユルゲンス教授へのヒアリングと資料収集を行った。我々研究チーム内では平成22年度までの研究を通して,1)ドイツの企業システムは,1990年代以降,確かに経済のグローバル化や技術革新の加速化に伴い大きく変容しているものの,基本的には従来のネオ・コーポラティズム体制(労使共同決定や銀行の役割,さらには政・労・使の協調体制)が維持されていること,2)しかしこうしたコーポラティズムを支える各種制度はそれぞれの環境条件の変化に対応して変化しており,これは各種制度の「共進化(co-evolution)」として捉えることができるという認識を共有してきたが,本年度はこれをさらに具体的な制度面の特徴,すなわち,労使共同決定,株式の相互持ち合い,経営者キャリア形成といった視点から,その変容の在り方と意味を明らかにしようと努めてきた。また平成23年度は,研究会を3回(平成23年5月・10月・平成24年3月の3回)開催し,各自の問題意識と研究進捗度を確認してきた。こうした研究活動を通じて得られた成果は,裏面から確認できるような,研究代表者及び研究分担者による行連の論文等の執筆や関連学会での研究発表という形で公表に努めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの2度に及ぶドイツ調査を踏まえて,とくに1990年代以降の資本市場の変化と企業システムの変化を「制度の共進化」概念をベースとして明らかにし,さらにはとくに2008年秋の「リーマン・ショック」以降の金融・経済危機に伴うドイツ固有の企業システムの再評価等のドイツの近年の論調にも配慮しながら,研究を進化させてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたる2012年度については,これまでの研究成果を総括的に取りまとめる作業を行う。そのため本研究参加者による研究会を増やし,各自の研究成果の相互批判を積極的に行っていくものとする。なおこれまではどちらかと言えば,企業システムという制度の面からとらえてきたが,今年度は(例えば,ベンツやフォルクスワーゲン社等の)具体的な事例を挙げてこの1990年代以降の企業統治システムの変化を論証することも大きな課題となると認識している。
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Research Products
(17 results)