2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子力発電企業の社会的責任と事業経営の研究:安全と安心の両立
Project/Area Number |
21530365
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小笠原 英司 明治大学, 経営学部, 教授 (10120891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 泰幸 千葉商科大学, サービス創造学部, 教授 (30279872)
木全 晃 香川大学, 大学院・地域マネジメント研究科, 教授 (10448350)
坂井 恵 千葉商科大学, サービス創造学部, 准教授 (80548933)
高木 俊雄 沖縄大学, 法経学部, 准教授 (80409482)
森谷 智子 嘉悦大学, 経営経済学部, 准教授 (00449365)
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Keywords | 原子力発電企業 / 公益性志向経営 / CSR研究 / 経営倫理学 / HRO研究 / 環境経営 |
Research Abstract |
本研究の対象は、公益性志向経営(事業経営)の典型と考えられる《原子力発電企業》である。そこには、「電力自由化」時代を迎え、利益性(経済性)の追求と公益性の追求との間で動揺する対象企業の姿がある。本研究の目的は、そうした対象企業の社会的責任と公益性志向経営の研究を、哲学的・理論的および実証的に行うことにあった。そのために本研究は、CSR論や経営倫理学、HRO研究の知見を活用しつつ、組織と社会との間にある「安全/安心」に対する意識のギャップを把握し、そうしたギャップが事故や不祥事として顕在化してくる組織化過程を理解するとともに、それらを解決するための理論的基盤を探り、実際の企業への適用可能性を考察することを目指した。 平成22年度は、前年度に進めた分析枠組みを持って、日本原子力発電(株)敦賀発電所および敦賀原子力館へのインタビュー調査を行った。その際の主たる観点は、(1)オペレーション(2号機)とリスク管理、(2)新設備の特徴と建設状況、(3)組織編成と情報共有、(4)教育訓練と統制、(5)従業員の一体化・動機づけ、であった。こうした観点から調査を行う背景には、《原子力発電企業》の組織編成・体制の複雑さ(本社、関連会社、1次~4次下請けまでの協力会社等の階層的で密接な組織間関係)の存在があった。 この調査を踏まえて、これまでの分析枠組みを微調整するつもりであった。ところが、年度末の平成23年3月11日に東日本大震災およびそれに続く福島第一原子力発電所事故が発生し、当初われわれが想定していた研究の射程の根本的問い直しが迫られた。
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