Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 稔 和光大学, 経済経営学部, 教授 (50287926)
山崎 秀雄 和光大学, 経済経営学部, 教授 (30366968)
杉本 昌昭 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (90318725)
西岡 久充 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (10513757)
小島 大徳 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (70386803)
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Research Abstract |
本研究では食品業界を対象とし,企業不祥事の発生メカニズム解明のため,アンケート調査をとおした不祥事の有無による比較,あるいは不祥事にかかわって実務上,重視している内容や軽視している内容の抽出から,実証的にその発生を抑制する要因を検討することを目的とした。 結果として,今回調査対象として取り上げた企業においては,業務目標の達成値の設定,失敗の再発を防止するシステムの有無,クレームの集約・記録の有無,経営理念や組織風土の変化などが重視されている要因として挙げられた。また,軽視されている要因として,社外取締役や外部監査の設置,内部通報システムの有無,業務上の失敗を周知するシステムの有無などが挙げられた。これらの要因が企業の不祥事に何らかの影響を与えており,比較的軽視されている要因について,何らかの対策を講ずることで企業不祥事を抑制する一つの要因となることを示唆し,結論とする。 しかし,企業活動は組織内部のメカニズムによってのみ作動しているわけではなく,他の企業との関係,とりわけ親会社や大口取引先との関係といった垂直的なダイナミズムも大きな影響を与えている。今回の調査においても,過去に不祥事を起こした企業からの回収票・自由記述欄に,不祥事発生の背景に取引先からの圧力があったことを述べているものが見られた。 社外取締役の選任や外部監査の実施といった企業活動にかかわる近年の動向は,企業組織を外部に対して開くという方向性を具現化したものである。そして本調査において,その外部環境=他企業との関係が遠因となって不祥事が発生するケースも存在するということが明白になったことは注目されるべき点である。次回以降の調査においては,組織内部のメカニズムに対する環境要因たる組織外関係についてもさらに分析を加え,企業不祥事の発生を抑制する要因を確定していきたい。
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