2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530369
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
佐々木 利廣 Kyoto Sangyo University, 経営学部, 教授 (80140078)
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Keywords | 組織間関係 / 協働 / 地域イノベーション / 企業とNPO / マルチステイクホルダー |
Research Abstract |
地域に群生する企業やNPOといった異種組織が、地域固有の社会課題の解決のために協働することが地域学習ひいては地域イノベーションにつながっていくメカニズムを分析するために、北海道の札幌地域、旭川地域、登別地域、秋田山形地域、栃木県宇都宮地域、北九州地域などのNPOや企業を調査した。とくに各地域に点在する動物園や水族館が異種組織協働のためのフィールドを提供し、そこで多様な組織が出会い相互学習しながら社会課題を解決しながら新たな社会的価値を創造していることが明らかになった。また登別地域や北九州地域では、母体となるNPOがインキュベーターとしての機能を果たしながら、新たなNPOを輩出していくという現象が見られた。さらにそうした機能を意識的計画的に遂行することで地域イノベーションの担い手を育成しようとする動きも現れている。さらにこうしたNPOの動きを制度面や財政面で支援していく行政機関の機能も興味深い。地域の特定のフィールドのもとで異種組織の協働がどのようにして生じるのか、その協働はどのような段階を経て進化発展していくのか、さらには協働の結果として何が生まれ何が変わったかについて組織間関係論や地域イノベーション論の枠組みのなかで整理した。こうしたプロセスを整理することは、最終的には地域固有のブランド構築やブランド形成につながる枠組みを構想していくことにもつながっていく。ここ数年各地域で固有の「地域ブランド」を創造していくという動きが盛んになりつつあるが、組織間協働をもとにした地域ブランド創造による地域イノベーションという視点は組織論やブランド論や地域論などを融合した分野として注目されるようになると考える。
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