2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530369
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
佐々木 利廣 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80140078)
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Keywords | 協働 / トレーリサイクル / 環境と福祉の融合 / マルチセクター / 組織間関係 / マルチステイクホルダー |
Research Abstract |
地域に群生する企業やNPOや行政といった異種組織が、地域固有の社会課題の解決のために協働することが地域学習ひいては地域イノベーションにつながっていくメカニズムを分析するため、昨年度に引き続き山形県新庄市、愛知県東海市、三重県四日市市、東京都江東区などの行政機関やNPOや企業を調査した。 さらに地域の特定のフィールドのもとで異種組織の協働がどのようにして生じるのか、その協働はどのような段階を経て進化発展していくのか、さらには協働の結果として何が生まれ何が変わったかについて組織間関係論や地域イノベーション論の枠組みのなかで整理する作業を継続中である。今年とくに重点を置いたのは、異種組織間の協働によって生まれた地域イノベーションが、当該地域を超えて他の地域に伝播し移転していくメカニズムについて調査した点である。ケースとして山形県新庄市で生まれた食品トレーリサイクルシステム(新庄方式)が、横浜地域、四日市地域、東海地域、東京都へと移転し、それぞれの地域固有の条件のもとで横浜方式、四日市方式、東海方式、江東方式として定着していく過程を関係者へのインタビュー調査をもとに明らかにした。そしてこの移転過程のなかで大きな機能を果たしたのは仲介者あるいは戦略的架橋としての人や組織であった。具体的には行政と企業の両方の職場経験をもとに異なる利害を持つ組織間を調整した元行政担当者、新庄方式を全国に広げるために節々で伝導役として機能した包装資材問屋、環境と福祉の融合を目指す学会、高所から支援を行ってきた元環境庁トップなどである。今後は、こうした人々が地域イノベーションの移転過程において何を行ってきたかについて理論的実践的な考察を行いたい。
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Research Products
(2 results)