2009 Fiscal Year Annual Research Report
雇用・人材開発システムの日欧比較研究-ディーセント・ワークの視点からの分析-
Project/Area Number |
21530381
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
二神 枝保 Yokohama National University, 国際社会科学研究科, 准教授 (10267429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周佐 喜和 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (50216149)
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Keywords | ディーセント・ワーク / 雇用・人材開発システム / 日欧比較 / 職業教育・訓練 / 人的資源管理 / 均等待遇 / デュアル・システム / 採用管理 |
Research Abstract |
本年度は、まず第1にディーセント・ワークの概念を検討した。ILO(International Labour Organization)のいう、Decent Work(人間らしい仕事、あるいは一定水準の仕事)の概念は現在、あらゆる労働の問題で重要な概念であり、特にヨーロッパでは、仕事のあり方や仕事の質の問題について検討する上で、不可欠か視点となっている。ILOのRaymond Torres氏と情報交換しながら、Ghai, Dharamの'Decent Work : Objectives and Strategies'の文献レビューを行い、概念と目的を整理した。その上で、日本の派遣労働者等女性非正規労働者の教育訓練や賃金、福利厚生の状況をディーセント・ワークの視点から分析し、学術論文'Decent Work and Gender : Female Non-Standard Work in Japan'を執筆し、ILOからの刊行が決定した。 第2に、制度的・文化的側面から、雇用・人材開発システムの日欧比較を行った。日本では、特に新規学卒者の採用が一般的であり、企業内職業教育による長期的人材開発が重視されたのに対して、ヨーロッパ、特にスイスやドイツでは、デュアルシステムが重要な職業教育・訓練の手法で、一般的である。ただし、最近のボローニャ・プロセスといわれる大学改革の中で、企業の人材開発や人的資源戦略が変化していくことも推測されている。こうした新動向も考慮しながら、制度・文化的側面から雇用・人材開発システムの日欧比較を行い、学術論文'Stand und aktuelle Herausforderungen des japanischen Hochschulsystems'を執筆し、ドイツの学術雑誌Hochschulmangementに掲載された。 第3に、ヨーロッパ(主として、スイス、ドイツ企業)と日本の企業の人事担当者を対象にアンケート調査を実施し、雇用・人材開発システムの実証分析・国際比較を行った。本年度はチューリッヒ大学のBackes-Gellner教授と情報交換・連携をしながら、調査対象の企業を製造業と小売業を中心に選定し、質問票(ドイツ語、日本語)を作成し、日本、スイス、ドイツ企業を対象にアンケート調査を実施した。企業調査の目的は、各国企業が企業のコア・コンピタンシーに必要なスキルをもつ従業員をどのように採用し、どのような人的資源管理戦略を選択するのかを比較・分析することであった。また、企業の財務・所有構造が人材開発・人的資源戦略にどのような影響を与えるかも分析することであった。その際、各国の制度的・文化的相違や産業ごとの特徴についても考慮・検討した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
二神枝保, 諏訪春雄, 他
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Journal Title
平成異変 打開のリーダー : グローバル化 格差社会(勉誠出版)
Pages: 338 (担当216-236)
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