2009 Fiscal Year Annual Research Report
企業及び自治体のワーク・ライフ・バランス対応制度及び政策の効果検証
Project/Area Number |
21530383
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
西久保 浩二 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 教授 (70447704)
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 福利厚生制度 / 人的資源管理 / 法定外福利厚生費 / 法定福利厚生費 / モチベーション / 定着性 / 女性の継続就労 |
Research Abstract |
21年度の研究目的は、既に開発したワーク・ライフ・バランスに対する労働者の自覚的評価尺度の精緻化と、その尺度を用いた、関連制度の有効性を検証することにある。前者の課題については看護職等の実態ヒアリングを通じて、長時間・夜勤労働等の側面から、従業員側からの測定次元である「時間的次元」「精神的次元」「経済的次元」の三次元に加えて、労働に伴う肉体的・体力的負荷の観点からのバランス測定する必要性を確認した。その成果として「肉体的バランス」の状態に関する自覚的評価尺度の開発を行った。これによって開発された4次元でのワーク・ライフ・バランスの自覚的評価についてIT企業の従業員187標本による調査を実施し、尺度としての信頼性の確認を行った。 後者については、ワーク・ライフ・バランスと最も関連性の強い福利厚生制度との関係性を西久保(2007,2008)で採取された定量データを基づいて統計的検証を行った。検証された成果としては、現行の福利厚生制度がワーク・ライフ・バランスに対する労働者の自覚的評価を改善、維持・向上する効果と、阻害する効果の二面性を有することが明らかにされた。すなわち、家族生活との関係性の維持を支援する制度、将来の生活設計を支援する制度、職場の労働者間でのコミュニケーションを促進する制度等は前者の改善、維持・向上効果を有し、業務精度・業務への集中度を促進する諸制度では後者の阻害効果があることが検出された。この発見は、ワーク・ライフ・バランスを重要性が増すに従って、福利厚生制度の制度編成全体を改革する必要性と意義を示唆するものである。
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Research Products
(7 results)