2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会的責任企業のビジネスモデルに関する調査・事例研究
Project/Area Number |
21530386
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高岡 伸行 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (90304922)
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Keywords | CSR / ビジネスモデル / ステークボルダーインヴォルベメント / BOPビジネス |
Research Abstract |
本研究の目的は,社会的責任経営を機能させるメカニズムの理論化にある。そのために社会的責任ビジネス(Socially Responsible Businesses : SRB)のビジネス・モデルの特徴や編成特性を,所有構造や財務状況との対比を基本とし・事業及び事業プロセスへのステークホルダーの統合様式(巻き込み方及びその原則)に焦点を当て,考察することを課題とした。21年度は財務構造分析を踏まえたフィルタリングをベースとしたサンプル企業のビジネス・モデルのパイロット的な事例研究を念頭に置いていたが,私的研究会において,SRBの概念およびSRBのビジネス・モデル概念が曖昧であり,そのままでのパイロット事例研究はミスリードを招きかねないとの指摘を受け,研究計画・方法に齟齬が生じた場合の対応策に則り,SRBビジネス・モデルの精緻化に軌道修正を行った。具体的には「社会的責任」と「株主価値や企業の成長・収益」を両立するビジネス・モデルを照射する分析対象として, BOP (Bottom of the Pyramid)ビジネスに着目し,そのビジネス・モデルの編成原則をまとめた研究論文を仕上げ,脱稿した(21年度研究成果発表欄には未刊行のため未記載)・また現在BOPビジネスをCSRの実現や持続可能性の実践を指向するSRBとして捉えられ得ること,そのビジネス・モデルの編成においては従来のビジネス・モデルとは原理的に異なるステークホルダーの統合様式が顕著に伺えることをまとめた研究論文を作成中である。データや独自調査に基づく事例による検証には至っていないが,21年度の研究実績は,当初からの研究計画・方法の基本的アイデアを概念的に精緻化することに寄与するという意義を持つ。
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