2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会的責任企業のビジネスモデルに関する調査・事例研究
Project/Area Number |
21530386
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高岡 伸行 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (90304922)
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Keywords | CSR / ビジネスモデル / BOP / ステークホルダーインボルヴェメント / ソーシャル・ビジネス |
Research Abstract |
該当年度においては,社会的責任企業の事業様式として注目されているBOPビジネスの特徴を理論的にまとめた。とりわけ,株式会社企業としての利益追求の側面と社会的責任の両立を機能,実現させる要となるビジネスモデルの編成原則及びその特徴をまとめ,研究論文として発表した。当該研究の成果から,本研究目的に対する含意として,以下の点を指摘し得る。 BOPビジネスにおいて,社会的責任と利益追求が両立し得るのは,BOPビジネスを展開する企業主体のビジネスモデル上の特性もさることながら,BOPという新規の市場開拓による市場そのものの拡大,つまりパイの拡大による成長に大きく依存している可能性のあることを示唆した。BOP市場を育成・拡大する取り組み,ビジネスモデルの編成のあり方(とりわけステークホルダーの組織化原則)には,ステークホルダーベースのCSR論において主張される特徴が反映されているが,BOPビジネスを社会的責任企業として捉える場合,BOPという市場特性に多分に依存していることを考慮しなければならない可能性を指摘したことによって,昨今のCSR論の観点からBOPビジネスを研究する際の留意点を提示し得たことに関しては一定の意義を持つ。 また当該年度の研究によって,株式会社企業における社会的責任と利益追求・収益活動とを連動させる事業様式のパターンを1,差異化による優位性確保,2,環境操作による投資効果向上,そして3,パイの拡大による成長,の三つから比較検討する視点を得たことも成果の一つである。 社会的責任ビジネス概念と類似するがその所有構造や事業形態において決定的に異なる,ソーシャルビジネス概念と対比することで,本研究申請時の目的や実施計画に示した,所有形態や財務構造という要素を加え,社会的責任企業の照射に寄与すると考えている。
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