2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530389
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
内田 恭彦 山口大学, 経済学部, 教授 (40379508)
|
Keywords | 戦略的人的資源管理 / 垂直関係 / 戦略合理モデル / 資産合理モデル |
Research Abstract |
本研究は日本傘業の異動システムが日本企業のイノベーション能力および持続的競争優構築にいかなる機能を有しているのか、ということを明らかにするものである。平成23年度は大きく3つのことを行うことができた。第1は日本型経営と異動システムを含む人的資源管理システムの関係を明らかにするために大規模質問紙調査を実施したことである。これは大手人材サービス会社の顧客リストより一部上場企業および従業員数1000名以上の大企業の人事部長を対象とし、3月4日に郵送した。しかし3月11日の東日本大震災などの影響で回収は困難を極め、7月末までに102件(8.1%)の回収となった。第2はこの調査データ分析結果を経営行動科学学会第14回年次大会にて発表したことである。第3は学会発表内容に加えいくつかの新たなデータ解析などを行い、「価値創造としての戦略と人的資源管理」(2012)山口大学経済学部ディスカッションペーパーシリーズNo.16に纏め、現在学会誌に投稿中である。結果内容は、まず日本型経営と欧米型経営の違いを価値創造の観点から、事業環境を選択し企業外部の投入および産出を選択し、それに適した資源を導入し、地域間価格体系差を活用するもしくは交渉力を高め価値創出を図る戦略合理モデル(欧米型)、および企業内の変換過程を企業特殊にすることにより交渉力を高めて価値創出を図る資産合理モデル(日本型)とした。その上でそれぞれのモデルに適合する異動・採用・処遇ポリシー尺度を作り、各モデルと各人的資源管理の機能別ポリシー得点に差が存在するか否かを共分散分析を用いて検定を行った。結果は資産合理モデルに適した採用・処遇ポリシーにおいて差が確認された。このことは戦略合理・資産合理モデルと人的資源管理に関係があることを示すと同時に、労働市場との補完関係から戦略合理モデル企業は資産合理モデル企業の人的資源管理と同様のポリシーを有するようになる可能性を指摘した。
|
Research Products
(1 results)