2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会変革型CSR戦略と起業家ネットワークの自己組織化―フローの視点を中心として―
Project/Area Number |
21530393
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
潜道 文子 拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)
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Keywords | CSR / ソーシャル・エンタープライズ / 社会企業家 / フロー / 経営倫理 |
Research Abstract |
近年、CSR経営を目指す企業が増加しているが、企業の業績に対し直接的に影響を及ぼすような、戦略的CSRに成功を収めている企業は多いとはいえず、その実現には、まだまだ、課題が多い。では、社会と企業の双方に価値を創出する戦略的CSRの実践を目指すために必要な方策はどのようなものなのであろうか。この課題を考察するにあたり、ビジネス手法を用いて社会的課題を解決する事業を行っているソーシャル・エンタープライズの活動に注目し、事業としての成功と社会への価値の提供を共存させる要因を検討した。インタビュー調査や文献研究の結果、社会的事業のもつ倫理性や物語性が組織の構成員および支援者、サービスの受け手へ影響を与え、また、顧客のニーズに適合した事業を、これまでの常識を超えた革新的な方法で行うことによって、事業としての成功を収めていることがわかった。 また、日本においては、まだまだソーシャル・エンタープライズがどのような組織であるのかが知られていないこともあり、人々のソーシャル・エンタープライズのとらえ方も様々である。他方、ソーシャル・エンタープライズについては、その活動が活発に行われている組織がそれほど多くないと考えられ、情報発信等も十分とはいえない組織が多い。ソーシャル・エンタープライズの活動が活発化している海外の諸国における組織の成功要因は各国の政府の政策や企業の活動等、支援体制等により様々であり、日本が特定の国の状況をそのまま模倣することは難しい。したがって、まずは、日本のソーシャル・エンタープライズの活動の実態を把握し、成功要因を分析するために、日本における先進的なソーシャル・エンタープライズに対してアンケート調査を実施した。23年度において、そのアンケート調査結果を分析し、社会におけるソーシャル・エンタープライズの役割と意義について、検討する計画である。 さらに、ミハイ・チクセントミハイの提唱する「フロー」がソーシャル・エンタープライズにおける活動のなかでどのような役割を果たしているのかを考察する計画である。
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Research Products
(4 results)