2010 Fiscal Year Annual Research Report
制度移行期におけるメタナショナル企業モデルの理論的検討
Project/Area Number |
21530394
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森本 博行 首都大学東京, 社会科学研究科・経営学専攻, 教授 (90404954)
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Keywords | 国際経営 / 制度移行期 / メタナショナル / 企業モデル / オープン・イノベーション |
Research Abstract |
本研究は、制度移行期におけるメタナショナル企業モデルを検討することを、最近のオープン・イノベーションの事例から検討することを目的とする。 日本企業に限らずグローバルに企業活動を展開した製造業は、各国市場の制度環境でのローカル・ニーズや国の産業政策に対する個別最適の課題と、一方で自社の資源や組織能力を構成する企業制度(business institution)を活用したグローバル・マネジメント・オペレーションの統合による全体最適の課題に対して同時に取り組んでいる。 メタナショナル・マネジメントは、自社内のグローバル・ネットワークから、自社にこだわらない企業外の地理的に分散化した知識の活用と移転の経営の必要性という点で、クローズド・イノベーションからオープン・イノベーションのイノベーション・プロセス・マネジメントへの転換の議論と相通ずる点がある。 平成22年度および23年度の研究では、オープン・イノベーションを事例として、新たなグローバルな制度設計として、知識探求収集型(open sensing)、知識融合型(global senshlg)、知識呼び込み型(Open Campus)の三形態を抽出した。事例研究では、HighTech Campusという「場」を提供して、世界の企業を集めてオープン・イノベーションを実践している多国籍企業のPhilipsをメタナショナル企業として検討した。知識獲得の外部化の傾向は、研究開発費や研究開発費比率、研究者人員の増加といった伝統的な研究の規模を追求するマネジメントから、多様性の中から知識を探索、移転、活用するマネジメントへの転換を意味しており、Philipsの事例はメタナショナル企業モデルの理論的検討に重要な示唆を与えた。
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