2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530402
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
高木 朋代 敬愛大学, 経済学部, 准教授 (20383367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 篤裕 慶応義塾大学, 経済学部, 准教授 (10348857)
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Keywords | 高年齢者 / 障害者 / 雇用・就業 / 人的資源管理 / 社会政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで日本の雇用・労働システムの外に置かれがちであった定年に到達した高年齢者、および障害者の人々を、「働く場」に招き入れるためにはどのような社会環境づくりが求められているのかを、特に企業のマネジメントの観点から検討することにある。さらに国際比較の観点から、日本の政策や企業の取り組みが、国際的な枠組みの中でどのように位置づけられるのかを明らかにしていく。これらの調査研究を通じて、最終的には、高年齢者・障害者の持続的な雇用のために求められる新たな視座を提示し、政策提言を導くことを目指す。 初年度に続き、企業、障害当事者とその家族、授産施設・作業所、高年齢者・障害者職業訓練所、障害者施設へのヒアリングを実施した。これらの定性調査は、分析を進める際の仮説導出と、質問票調査の準備という目的も合わせ持っている。また海外情勢を把握し比較するために、英国においてプレヒアリングおよび参与観察を行い、専門家との意見交換を行った。 その結果、本年度の成果として次の予備仮説を得た。英国での高年齢者雇用においては、高年齢期の就業継続と不継続を分かつ要因が、日本と同様に当該者のこれまでのキャリアに強く依存していると予測される。また採用プロセスにおいても、日本企業分析において見出された知見に近似する特徴を有する可能性が高い。さらに障害者雇用に関しては、近年国際社会の合意のもとで進められている合理的配慮に基づく外的・物理的な包摂だけによって、雇用機会の推進が飛躍的に改善されるとは想定できず、異なる視点と枠組みからの検討が必要と考えられる。また、マッチング施策以上に、その後の定着を高めるためのリテンション施策が、極めて重要であるとの仮説を得た。本課題は今後、内閣府「最先端・次世代研究開発支援プログラム」事業に受け継がれ、さらに深く追究していく予定となっている。
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