2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の国際人的資源管理における「日系ブラジル人の活用」に関する研究
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21530424
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
古沢 昌之 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (30351480)
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Keywords | 日系人 / 日系コロニア / 日系進出企業 / 人的資源管理 / 第三文化体 / デカセギ / エンプロイメンタビリティ / 在日二世 |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度から継続している在日日系人へのアンケート調査・ヒアリング調査を実施するとともに、ブラジル進出日系企業および在ブラジル日系人へのアンケート調査等を行った。そして、調査結果については、学術論文のほか、研究代表者が所属する多国籍企業学会および国際ビジネス研究学会の全国大会にて発表するなど成果の発信に努めた。 在日日系人に関しては、来日後は彼(彼女)らの日本語能力が向上するとともに、日本文化に触れる機会が増加し、来日前は顕著であった「二世-三世」間や「純血-混血」間の格差も縮小傾向にあることが分かった。こうした、在日日系人の「質的変容」は「第三文化体」(林吉郎『異文化インターフェイス管理』有斐閣、1985年)として日本企業のブラジル現地経営に資する可能性を秘めた事象であると言えよう。しかし、彼(彼女)らの日系企業の人的資源管理に対するイメージは属性を問わず否定的であった。 一方、ブラジル進出日系企業は「150万人の日系人の存在」を日本企業の現地経営に資する経営資源として高く評価していることが明らかになった。しかし、先行研究等で指摘されてきた「現地化の遅れ」や「グローバルなキャリア機会の欠如」については進展が見られなかった。また、現地人社員に日本語能力手当を支給しているケースは殆ど皆無で日本語学習のための支援策を講じている企業も少数派であることから、この点でも従前と変化はないと言える。 こうした中、今後日系企業は現地化の促進や国際人的資源管理における「規範的・制度的統合」に取り組み、「エンプロイメンタビリティ」を強化すると同時に、そうした人的資源管理面での変革を日系コロニアおよびブラジル社会全体に情報発信することでマイナスのイメージの払拭に努める必要があろう。
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Research Products
(5 results)