2010 Fiscal Year Annual Research Report
サービス業におけるCRM能力の構造と成果に関する研究
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21530431
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
近藤 公彦 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (10205552)
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Keywords | サービス業 / CRM / 組織能力 |
Research Abstract |
平成22年度においては、アンケート調査に基づく実証分析を中心として研究を進めた。実証分析においては、CRMの組織能力の構造と成果に関する分析モデルを構築し、サービス業を対象としたアンケート調査データを統計的に解析した。分析モデルの基本目的は「CRMにおける組織能力の構造(要素とその関連性)と成果の関係を解明すること」である。 この実証分析では、CRMにおける組織能力に注目し、CRM能力とCRM実施の関係、およびCRM実施と経営成果との関係を実証的に検討した。一連の統計解析から導き出される結論は、以下の点にまとめることができる。第1に、CRM実施には市場マネジメントに関連する能力だけでなく、組織マネジメント関連の能力が重要な役割を果たしている。優れたCRMを実践するためには、組織と市場のマネジメントを統合的に遂行する必要がある。第2に、CRM実施と経営成果との関連において、FSPカスタマイゼーションがいずれの経営成果でも共通して重要な戦略である。このことは、顧客を階層化し、カスタマイズされた製品・サービスを提供するというCRMの最も基本的な顧客戦略の有効性を示している。第3に、CRMはほぼすべての市場環境において高い経営成果をもたらす有効な顧客戦略である。この研究は、従来の研究、とくに実証研究において明示的に考察されてこなかったCRMの組織能力に注目したことに意義があり、CRMが単なる顧客戦略ではなく、それを有効に機能させるための組織戦略としても構築されなければならないことを示している。以上の実証研究は、日本商業学会第61回全国研究大会(平成23年5月27日~30日、熊本学園大学)において「サービス業におけるCRMの構造と成果」と題して報告される。 今回の研究の集大成として『顧客関係のマネジメント』(仮題)として研究書を執筆する予定であり、その第1章に当たる部分を「顧客関係のマネジメントの系譜」として執筆・公表した。
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