2009 Fiscal Year Annual Research Report
産業財におけるブランド・エクイティ形成のメカニズム
Project/Area Number |
21530448
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
崔 容熏 Doshisha University, 商学部, 准教授 (70315836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 晃典 慶応義塾大学, 商学部, 准教授 (20296742)
北島 啓嗣 福井県立大学, 商学部, 准教授 (60398980)
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Keywords | ブランド / 産業財 / マーケティング |
Research Abstract |
本年度は部品・素材分野におけるブランド・エクイティの形成メカニズムとして三者間関係に注目した研究を行った。部品と素材のような中間財の場合、当該製品が完製品の一部としで組み込まれるために、完製品のユーザーによる視点を踏まえずに素材・部品のブランドを議論することはできない。このような視点は過去の産業財ブランド研究においては殆ど意識されていないか、意識されていたとしても実際の分析の対象になることはなかった。本研究では日本の素材・部品分野の買い手企業124社から収集した定量的なデータを用いて、完製品のユーザーの評価が、その完製品に対する買い手企業のブランド・ロイヤルティを高める上で有意な効果を及ぼすことを明らかにした。また、当該産業財が完製品に占める重要度が高いほど、その効果は増幅されるという結果を発見することができた。この研究結果は、産業財ブランド研究においては初めての試みであり、今後売り手-買い手間という単なる二者間関係を超えた多者間関係を考慮したモデル開発や経験的研究の必要性を促すものである。 さらに「完製品に占める素材・部品の重要度」という概念を買い手企業の視点とユーザーの視点に分け、類型化を図る研究を行った。その結果によると、部品や素材は、買い手企業にとっての重要性とユーザーにとっての重要性に区別することができ、それぞれの高低のレベルに沿って4パターンの素材・部品類型が必要である。本研究では部品・素材はその4つの類型毎に、それぞれ最適なブランド戦略が異なることを主張するモデルを構築し、既存研究や聞き取り調査などの定性的データに基づき概念構築的分析を行った。その経験的妥当性は今後の実証分析によって検証されなければならない課題である。
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