2009 Fiscal Year Annual Research Report
原価計算制度とコスト・マネジメントの整合性に関する経験的研究
Project/Area Number |
21530460
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 彰吾 Nagoya University, 大学院・経済学研究科, 教授 (10225039)
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Keywords | 原価計算 / 原価低減 / 原単位 / レート / ERP |
Research Abstract |
平成21年度は、コスト・マネジメントの実態を把握し、実務上の課題を研究課題として特定することを目的とし、企業への訪問調査を実施した。特に、日本企業のコスト・マネジメントの独自性および普遍性を解明しようとする意図から、在外日系企業とドイツ企業およびフランス企業の比較検討も行った。 これらの調査から、以下のようなファクトファインディングが得られた。 コストは原単位(経営資源の物理的消費量)とレート(当該経営資源の1単位当たり単価)の積で算定され、コスト・マネジメントは原単位およびレートの削減を目指すものである。日本企業は原単位の削減に焦点を置き、現場での原価維持活動および原価改善活動を通して原単位を管理している。そうした活動を通して、原単位を削減し原価低減を実現する。このことは、在外の日系企業の工場でも観察され、日本的なコスト・マネジメントと言える。ただし、現地人にこうした原価低減活動に取り組んでもらうための工夫が見られた。これに対し、ドイツの製造企業は原単位よりもレートの削減を指向する傾向があり、グループ調達、アウトソーシング等の方策によって原価低減を実現しようとしている。 また、独仏の製造企業では「よいものは高い」という価値観が根強く、差別化戦略とコストリーダーシップ戦略のいずれかを選択している。これは日本企業の「よいものを安く」という経営方針と異なる点である。このような相違点がある一方で、原価企画やERPのような管理会計手法を実施しているという共通点が見られた。
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Research Products
(4 results)