2010 Fiscal Year Annual Research Report
コーポレート・ガバナンスの視点と財務報告の質に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
21530469
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
椛田 龍三 大分大学, 経済学部, 教授 (60185965)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 資本概念 / 利益概念 / 時価会計 |
Research Abstract |
平成22年度は、コーポレート・ガバナンスの基礎概念を踏まえて、財務会計における利益概念と資本概念を中心に理論的に研究することができた。 前者の利益概念に関しては、拙稿「経済社会の変容と時価会計」(『会計理論学会年報』No.24,15-25頁)において、米国における会計理論・制度を、1930年代から2000年代まで歴史的に分析し、収益費用中心観を重視した利益概念-特に原価主義に基づいた純利益を重視する-から、資産負債中心観を重視した利益概念-特に時価主義に基づいた包括利益概念を重視する-へ変容した理由を明らかにした。つまり、ここでは、経済社会の変容-産業経済から情報社会・金融経済への変容-に密接に関連して、会計理論・制度が重点シフト-原価・実現主義から原価・時価主義への重点シフト-してきたことを明らかにした。後者の資本概念に関しては、拙稿「米国における資本会計の変容と受託責任目的」(『産業経理』Vo1.70No.3,35-48頁)において、米国における資本会計と会計目的一特に受託責任遂行目的-の関係性の問題を、1930年代から2000年代まで歴史的に分析し、資本会計の歴史が、受託責任遂行目的に規定された資本直接規定説-払込資本を資本と規定する-の段階から、投資意思決定目的-受託責任遂行目的も明示している-に規定された資本間接規定説-資本を資産から負債を控除した差額と規定する-の段階への変容と、さらに近年における原則主義に立脚した投資意思決定目的のみを重視した資本直接規定説の回帰現象の意味を明らかにしてきた。ここでは、資本直接規定説を展開するのであれば、投資意思決定目的の観点より、受託責任遂行目的の観点からの方が合理的に説明が可能であると指摘した。(この会計目的論は、コーポレート・ガバナンス問題に深くかかわるので、平成23年度も研究する予定である。) 尚、平成23年3月に予定していた会社のインタビューは、東北大震災のため、できなかった。
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Research Products
(2 results)