2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530473
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
町田 祥弘 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (50267431)
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Keywords | 監査の品質 / 監査報酬 / 監査時間 / 内部統制監査 |
Research Abstract |
本研究は、監査事務所における監査の品質の実態を把握するために、監査業務に対して投下されたコストとしての時間を利用することで、間接的に、監査の品質の程度を捕捉することを目的としている。 本年度は、日本及びアメリカの監査事務所における実態調査を実施した。同調査は、日米の上場企業の財務諸表監査を実施している監査事務所に赴き、守秘義務契約を締結した上で、ヒアリング及び監査調書の閲覧によって行った。 その結果得られた調査結果については、主に以下の点を中心に検討を行った。 (1)日米の監査時間にはどの程度の差異があるのか。また、あるとすれば、監査プロセスのどの部分での差異が大きいのか。 (2)2008年の内部統制監査制度の導入前後では財務諸表監査の業務にいかなる変化があったのか。 (3)監査報酬が低廉である企業ではいかなる業務が省略されているのか。 結果として、以下の点が明らかとなった。 ・日本の監査報酬は、アメリカに比べて、絶対時間でも、対売上高比率においても、1/4程度であること。したがって、監査の品質の観点からは、日本の監査実務に対して、大きな問題があると考えられること。 ・内部統制監査の導入によって、財務諸表監査における内部統制の評価に関する時間に影響はほとんど見受けられなかったこと。したがって、内部統制監査の時間を使って内部統制の評価を行っていることが想定されること。 ・監査報酬が低廉な企業においては、実証手続以外のほとんどの項目において、監査時間が有意に少ないこと。したがって、監査人は、監査証拠が明確に求められる実証手続以外の項目で監査時間を減らしているものと考えられること。 これらの分析結果を、2011年9月の日本会計研究学会(於久留米大学)にて報告するとともに、その内容を雑誌『會計』181巻3号(2012年3月)に論文として公表した。
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Research Products
(3 results)